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壇蜜が誘う 金沢 泉鏡花の世界

2017年7月16日

「壇蜜が誘う 金沢 泉鏡花の世界 」

5月30日に金沢の石川テレビ放送で放映が終わったのだが、愛知県にいたので見られなかった。

http://www.ishikawa-tv.com/program/150530danmitsu/

デジタルエステイトでも『泉鏡教授の探偵旅行』、『泉鏡教授の旅行事件簿』という本を出しているので、泉鏡花に無縁ではない。

また、このドキュメンタリー番組を制作している金沢・東京の制作会社フィックスは、偶然だが私の従弟いとこが社長をやっているので、録画を頼んで見ることができた。(私と違って彼は大したものだ)

もちろん北陸新幹線の開業を記念した番組だが、泉鏡花の再評価に向けてまじめに取り組む姿勢に共感できる。

狂言回しに壇蜜を選んだのは悪い選択ではなかった。高野聖の「女」の役は特に良かった。テレビという制約があって無理だが、もっと露出があったほうがよかったのだが、それはともかく、義血侠血の(滝の)白糸役も良かった。

高野聖を読書で楽しむのもいいが、俳優の佐藤慶が朗読しているCDは絶品である。

このドキュメンタリーに登場する人々の中で、傾聴すべきは天守物語を演じた篠井英介で、同じく天守物語を演じた坂東玉三郎よりはるかに鏡花の世界を理解していることがわかる。

玉三郎と言えば、以前、名古屋で海神別荘の朗読会を見に行った時に、近松門左衛門の「おさん茂兵衛」(本題は『大経師昔暦』)を引き合いに出して、「江戸市中引き回しの刑だった」と言って、私と家内は思わず声に出したくらい驚いた。おさん茂兵衛は大阪の経師屋の話で、京都市中引き回しなんだけど、この人ものを知らないにも程があると思った。なんでもかんでも江戸じゃあないよ、むしろ江戸の話は後で作られたんで、(あるいは江戸に持っていったんで)歌舞伎の元も人形浄瑠璃から始まっているってことを忘れているか知らないか。

この『おさん茂兵衛』はかつて溝口健二監督、長谷川一夫と香川京子の主演で映画化された。歌舞伎で物足りない人にはお勧めの作品だ。

金沢にある泉鏡花記念館の学芸員の人の解説はなかなか良かった。それと比較すると村松友視の解説は当たらずといえども遠からず、どころか、当たらない上に遠いという程の話で、五木寛之の後釜を狙ってまんまと金沢通になりすましているが、泉鏡花の世界について全く無知だと思わざるをえない。もう少し勉強してから出なおして下さい。

新派の水谷八重子も出てきた。泉鏡花がいなければ新派もなかったので、当然といえば当然だ。婦系図の真砂町の先生、というのはドイツ語の教師だが、実際には自分と尾崎紅葉の関係を下敷きにしている。

いずれにしろ、このドキュメンタリーはなかなか良く出来た番組になっている。いまどきのくだらない番組の時間を減らして、もっとこういう真面目な教養番組を作ってほしいものだ。

このドキュメンタリーの中で東京の泉鏡花の住まいについても紹介されているが、そのなかで、神楽坂の住まいが、先日飲みに行った「竹子」のすぐ脇にあるというのに驚いた。今度行く時に拝んでこよう。とは言え、記念のプレートがあるだけだけどね。

Posted by hnakata