アレクサンドル・デュマの『キーンまたは狂気と天才』(1836年初演)の翻訳が完了

翻訳開始から四ヶ月弱かかりましたが、ようやくアレクサンドル・デュマの『キーンまたは狂気と天才』(1836年初演)の翻訳が完了し、本日版元に納品します。

サルトルが翻案した『キーン』(1953年初演)はすでに翻訳がありますが、原作のデュマ版はこれが初訳です。

19世紀前半当時のフランスのロマン派演劇の俳優フレデリック・ルメートルがイギリスの伝説的名優キーンの1833年の死にさいしてキーン自身を演じたいと願い、デュマが完成したのが本作品です。

イギリス皇太子の友人でデンマーク大使夫人を愛するキーン。舞台上でロミオとジュリエットを演じていたキーンは、伯爵の桟敷にいるエレナとプリンスの姿を認め、財産目当てで女優志願のアンナとの強制結婚を目論む悪徳貴族ロード・ミーウィルを罵倒しながら、舞台上で気絶する。さて、キーンの最後はどうなるでしょうか。

最初の写真はパリにあるフレデリック・ルメートルの銅像。次はドリュリー・レイン劇場でハムレットを演じるキーン。

シュークルットのレシピ

奥さんの小説の舞台がストラスブールということで、名物料理シュークルットを作れと言われて作ってみた。

参考サイトはここ

http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/choucroute.html

以下に参考サイトの内容を引用します。

☆ 作り方

  1. 漬け込みです。
    まずキャベツを細切りにし、大きめのボールに入れ、粗塩25グラムを全体にまぶして、2-3時間そのまま置きます。
    水が出てきますね。この水は捨てます
    さらにキャベツを軽くもんで水をはかせ、水分をよく絞って、別のボールに入れます。
    400ccと200cc、チョウジ(丁字)の粉末少量を混ぜて、キャベツにかけ、
    ひと晩
    置きます。

    チョウジっていうのは、アジアのモルッカ諸島、フィリピン、またはアフリカに
    生える植物の、うす紅色の花のつぼみを乾燥させたもので、かたちは
    褐色の折れくぎ状のもので、とてもとても強い香気をもっています。
    他の香料とブレンドして、肉料理に使用することが あります。
    2.キャベツの煮込みです。
    さて、翌日。ベーコンを細切りにして、なべの底に散らし、漬け込んだキャベツを平に入れます。

 

 

 

 

 

 

 

キャベツの漬け汁、水、固形スープを砕いて入れ、コショウをふり入れます。
ふたをして、弱火で30-40分間、 キャベツがやわらかくなるまで煮るのです。
途中、煮詰まるようでしたら、水を少したしてください。

煮上がりぎわに、ウインナー、またはフランクフルトソーセージ、ハム、コーンタン
(牛の舌の塩漬けにしたもの)などを入れてあたため、なるべく素朴な感じ
大皿に盛って食卓へ。 お好みで取り分け、召し上がってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャガイモを姿のままゆで、粉ふかしにしてつけ合わせるのも、かえって田舎風でいいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一つはこのサイト。

https://jp.ambafrance.org/article7524

 

無声映画”Kean”について

Alexandre Dumas の原作によるKeanの翻訳の過程で、ロシア革命期に亡命したロシアの俳優や映画人たちがパリで制作した無声映画のなかに『キーン』があることがわかった。発売元はFlicker Alleyというロサンゼルスにある映像販売会社。

DVDはFrench Masterworks: Russian Emigres in Paris 1923-1928 – 5 Iconic Films Albatros Productionsである。Keanはこのコレクションの中に収められている。

12月27日に会員登録してオンラインで購入、1月10日には到着した。

 

 

 

 

 

 

 

Keanの内容についてはカリフォルニア在住のFRITZI KRAMERによる詳細な解説に任せるとして、私としてはざっとした印象を書いておきたい。

役のキーンは亡命ロシア人俳優のイワン・モジューヒンが演じている。本編の字幕はフランス語が入っていて、主としてデュマの原作から抜粋している。英語の字幕もリメイク版として付けられている。内容はデュマの『キーン』にプロットは借りているものの、エンディングは喜劇として書かれた原作とは全く異なって、キーンは女優志望の若いアンナとニューヨークに旅立つという幕切れではなく、キーンが恋したデンマーク大使夫人のエレナに看取られながら死の床で事切れるという悲劇的な最後で終わる。

無声映画の完成は1923年で、デュマの死亡年は1870年というから、著作権の消滅を待って公開したものかもしれない。

なお、FRITZI KRAMERの解説中にデュマ原作の英語翻訳の情報があってありがたい。

アメリカズ・ゴット・タレント 「シャンデリア」

アメリカズ・ゴット・タレントを好きで見ている。

今回はSia Kate Isobelle Furlerの「シャンデリア」を歌うピエロの扮装をした男性が秀逸なので紹介したい。

シーアの原曲のオフィシャルトラックはこれ。

これはすでに人を驚かすパフォーマンスだが、AGTのクラウンの歌唱も感動モノだ。

それがこちら。

なぜか涙を誘う歌声とパフォーマンスだ。

日本語訳と解説はこれが詳しい。

SIA(シーア)シャンデリアの和訳の解釈!歌詞に込められた意味とは?

 

謹賀新年

あけましておめとうございます。

今年の最初の出版はアレクサンドル・デュマの『キーン 狂気と天才』です。アレクサンドル・デュマの戯曲は当社で、『アンリ三世とその宮廷』、『アントニー』、『ネールの塔』、『ベル=イル嬢』に次いですでに5作目になります。

『キーン』はサルトルの戯曲として有名で翻訳もありますが、実はアレクサンドル・デュマの原作を翻案したものです。今回、アレクサンドル・デュマの原作を翻訳して出版するべく作業をしています。どうぞご期待下さい!

 

GoogleDriveのOCR機能を使って大量の画像ファイルをテキストに変換する方法

はじめに

私の環境はMacBook ProでMacOS X 10.13.6で、スキャナーで取った画像ファイルをgoogle ドキュメントにアップロードしていた。Google ドキュメントを右クリックで「アプリで開く」のなかの「googleドキュメント」を選択するとOCRができる。大変便利な機能で、しかもOCRの精度が高いので重宝している。問題は、この操作は1ファイルごとにしなければならないため、複数ファイルの一括変換があれば一層便利になると思っていた。

Google Cloud Supportに問い合わせると、「お調べいたしましたところ、複数の画像を一度にgoogleドキュメントアプリで開く機能は、現状実装されておりませんでした。ご要望に沿うことができず、誠に恐れ入ります」という答えだった。(2018年8月23日)

検索すると以下のサイトが見つかった。

GoogleDriveのOCR機能を使って、大量の画像ファイルをテキストに変換する

このサイトは大変参考になったが、何分ターミナルでコマンドを打ち込んで・・・という作業を日ごろしていないことと、バッチファイルの中身がよくわからない。ただ、gdriveというプログラムがその処理をしてくれるということがわかった。

「これらの問題については、Petter Rasmussen氏がgithub上で公開しているgdriveというソフトウエアを使うことで解消できます。」

結局、敬愛する友人Gさんにお願いしてそのgdriveを使って処理するプログラムを書いてもらった。そのプログラムは後ほど上げるが、gdriveのreadmeをよく読んでおく必要がある。

  1. gdriveをダウンロードして展開しておく必要がある。上のgdriveに行ってDownloadsの部分で自分の環境に適合したファイルをダウンロードする。
  2. MacOS XでインストールするにはHomebrewをダウンロードしてインストールする。Homebrewには日本語も選択できる。ターミナルコマンドが準備されているのでそれを使ってgdriveを展開しておく。

さて、gdriveを使って処理するプログラムはgdrive-import-export.plである 1


#!/usr/bin/perl

# After download: chmod +x gdrive-import-export.pl
#
# Usage examples
# ./gdrive-import-export.pl file1.png file2.png file3.jpg
# ./gdrive-import-export.pl uploads/*.jpg uploads/*.png

my $num_files = 0;
my $FILE = '';
my $IMPORT_TEST = 0; # for debug
my $EXPORT_TEST = 0; # for debug

$num_files = @ARGV;
print "Number of Files: $num_files\n";

if ($num_files < 1) {
print STDERR "give a file name\n";
exit(1);
}

for (my $i=0; $i < $num_files; $i++) {
$FILE = $ARGV[$i];
print STDERR "INPUT $FILE\n";

# gdrive import
my $command="gdrive import $FILE"; # modify this line for command options
my $imported = '';

if (!$IMPORT_TEST) {
$imported=`$command`;
print STDERR "$imported";
} else { print "DEBUG: $command\n"; }

# get FileiD
$imported =~ s/^Imported\s+(\S+)\s+.*/$1/;
chomp($imported);
print STDERR "FileID: $imported\n";

if ($imported ne '') {
my $command ="gdrive export --mime text/plain -f $imported";
# -f is for overwrite. modify mime type as text/rtf or other
#
# "gdrive about export" lists all available types
# From: application/vnd.google-apps.document
# To: text/html, application/rtf, text/plain, application/epub+zip
# and more

if (!$EXPORT_TEST){
my $exported = `$command`;
print STDERR "$exported";
} else { print "DEBUG: $command\n"; }
} else {
print STDERR "import failed. skip export and exit\n";
}

} # end of for

exit(0);
# end of the program


このプログラムのタスクは

  1. jpgやpngファイルをGoogle Driveにドキュメントとしてアップロードする。アップロードするファイル数を表示する。
  2. ドキュメントに変換されたファイルのテキストをローカルフォルダにダウンロードする。

以上である。上のソースコードをテキストエディットなどのエディターで適宜ファイル名を変えて、自分のMacの/user/local/bin/のディレクトリに保存する。

変換するデータは特権のいらない普通のフォルダに入れておきます。

後はターミナルで実行するだけ。Macのターミナルは私のようなコマンド苦手の人間には優しい。他のアプリケーションのようにドラッグ・アンド・ドロップに対応している。やり方を動画にしたので参考にしてください。 2

 

 

 

Notes:

  1. このPerlスクリプトはLinuxで動きます。Bash on Windows10でも動くでしょう。以上、G氏からの助言を付け加えておきます。
  2. 動画ではMacのターミナルにドラッグ・アンド・ドロップしたため、パス名が入っていますが、記述する場合はパス名は不要です。

籠池泰典氏のことを思うにつけ・・・

吉本隆明は『共同幻想論』の規範論のなかで書いている。

・・大和朝廷勢力がもともとわが列島に土着していたものか、あるいは渡来したものかは『古事記』の編者たちにも明瞭ではなかったとかんがえられる。その由来をきわめるには、数千年をさかのぼらねばならないし、交通形態の未発達な古代社会で、孤立的に散在していた村落は、村落周辺からはなれた地域からの襲来勢力を〈天〉からきたとでもかんがえるほかなかった。これは信仰からいっても当然のようにおもわれる。

しかも大和朝廷勢力以外にも、すでに出雲系のような未体制的な土着の勢力がいくつもわが列島に散在することはかれらにも知られていた。それだから大和朝廷勢力はかれらの〈共同幻想〉の担い手の一端を、すでに知られている出雲系のような有力な既存勢力とむすびつける必要があり、それがスサノオの〈天つ罪〉の侵犯とその受刑の挿話となってあらわれたのである。 1

『古事記』のなかでスサノオが詠んだ歌とされるものが、

夜久毛多都やくもたつ 伊豆毛夜幣賀岐いづもやえがき 都麻碁微爾つまごみに 夜幣賀岐都久留やえがきつくる 曽能夜幣賀岐袁そのやえがきに

である。しかし、この通説に対して吉本は『サンカの社会』を書いた三角寛を引用しながら土着系の伝承を紹介している。

 サンカは、婦女に暴行を加へることを「ツマゴメ」といふ。また「女込めごめた」とか、「込んだ」などともいふ。

 この「ツマゴメ」も、往古は、彼らの得意とするところであつた。そこで、「ツレミ」(連身)のヤヘガキができて、一夫多婦を禁じた。それが一夫一婦つれみ制度やえがきである。

 ここで問題になるのは、古事記、日本書紀に記された文字と解釈である。すなはち、

(古事記)夜久毛多都 伊豆毛夜幣賀岐 都麻碁微爾 夜幣賀岐都久留 曾能夜夜幣賀岐袁

(日本書紀)夜句茂多菟 伊都毛夜覇餓岐 菟麿語味爾 夜覇餓枳菟倶盧 贈廼夜覇餓岐廻

右に見るやうに、両書は、全く異つた当て字を使つてゐるが、後世の学者は、次のやうに解釈してゐる。

 八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を

と、決定してゐるやうであるが、サンカの解釈によると、(昭和十一年、富士山人穴のセブリ外十八ヶ所にて探採)次の通りである。

 ヤクモタチ(ツ)は、八蜘蛛断ち(つ)であり、暴漢断滅である。イヅモ、ヤヘガキは、平和を芽吹く法律で、ツマゴメ(ミ)ニは婦女手込めに……である。ヤヘガキツクルは掟を制定して、コ(ソ)ノヤヘガキヲ、はこの掟をこの守る憲法を——で、これが「一夫一婦」のヤヘガキである。

それで出雲族を誇示する彼らは、自分たちのことを、「八蜘蛛断滅ヤクモタチ」だと自称して、誇ってゐるのである。・・・

この伝承で歌を解釈すれば〈乱脈な婚姻を断つのに出雲族の掟を 乱婚にたいして作った その掟を〉ということになる。 2

なぜこういう解釈に吸引力があるかといえば、スサノオが追放されるさいに負わされた〈天つ罪〉のひとつは、農耕的な共同性への侵犯に関している。この解釈からでてくる婚姻についての罪は、いわゆる〈国つ罪〉に包括されて土着性の強いものである。『古事記』のスサノオが二重に象徴している〈高天が原〉と〈出雲〉の両方での〈法〉的な概念は、この解釈では大和朝廷勢力と土着の未開な部族との接合点を意味している。それは同時に〈天つ罪〉の概念と〈国つ罪〉の概念との接合点を意味していることになる。 3

教育勅語に心酔する籠池泰典氏の揺るぎない確信の核にこういう「共同幻想」が潜んでいるのではないか。出雲系(あるいは土着系)日本人の祖先たちがスサノオに従った民であるという確信を今でもその子孫に信仰として伝承したためではないかと思うのはわたしだけであろうか。

Notes:

  1. 吉本隆明『共同幻想論』角川文庫(1982年)224ページ
  2. 『共同幻想論』には引用ページの記載がないが、現在参照できるのは三上寛『サンカ社会の研究』現代書館 「三上寛サンカ選集 第6巻」(2001年)138-9ページである。
  3. 吉本隆明『共同幻想論』角川文庫(1982年)225-227ページ

『越中人もしくは恋は美人画』と越中おわら風の盆について

私がモリエール原作を翻案した『越中人もしくは恋は美人画』のお金持ちの大将を越中人(富山県人)としたり、原作で出て来る踊りと音楽をおわら風の盆に設定したのは次のような経験をしたからである。

おわら風の盆富山県富山市八尾地区で毎年9月1日から3にかけて行われる。ずっと見たかったおわら風の盆が見られた。

富山市にあるル・ジャルダン・デ・サンスというフランチレストランの小室オーナーシェフに誘われて、おわら風の盆を見る機会を得た。小室シェフが店子となっているビルのオーナー、すなわち大家さんが我々も招待してくれるという。当初、半信半疑だった。というのも、我々は縁もゆかりもないのに、八尾にある大家さんの別荘で食事をご馳走になった上に、家の前で演奏と演舞を鑑賞できるというからだ。しかし、こんな機会はまたとないのでありがたく招待を受けることにした。

2016年9月、八尾に到着すると体育館と思しき場所に観光客用の演舞場が設営してある。街中まで入って巡回してくる踊り手を待つだけの時間がない人はここで雰囲気を味わうのだろう。

街を歩くと宵闇の迫る街並みに演舞を待つ人々がそぞろ歩いている風景が見える。我々もその中に混じってお盆の風情を感じている。

風の盆の開始を待つ妻と私

そろそろ夕日も落ちて来て、いよいよ雰囲気が盛り上がって来た。

大家さんの別荘に入るとおわら風の盆の時期だけしか使わないだろう別荘の中は様々な調度品に混じって風情ある書画に暖簾などの家具で飾られている。

一人一人に振舞われるお膳が美味しそうな料理で満載である。ただただ感謝だった。

2階の窓から遠くに聞こえる演奏と踊り手の到着を待つ群衆を見ると、どんどん期待が高まってくる。

そして、玄関前の特等席で座っている私たちの前に、踊り手と演奏者が到着してついに演舞が始まるのであった。

最初は男踊りである。

途中から女性の踊りが入る。Wikipeidaの「越中おわら節」によれば、この踊りは以下のような流れになっている。

新踊りはさらに「男踊り(かかし踊り)」と「女踊り(四季踊り)」に分かれる。男踊りの所作は農作業を表現しており、所作の振りを大きく、勇猛に躍り、女踊りの所作は蛍狩りを表現しており、艶っぽく、上品に踊るのが良いとされる。この男女の新踊りは、昭和初期に川崎順二と親交のあった日本舞踊家・若柳吉三郎によって振付けられた主に舞台演技用の踊りである。まず女踊りを当時八尾にも多くいた芸鼓たちに振り付け、その後男踊りを振付けた。もともと女踊り(四季踊り)にだけ唄に合わせた四季の所作が入っていたが、近年では男女混合で踊るときにペアを組んで妖艶な所作を入れたりもしている。なお、この所作は八尾の各町内ごとにいろいろと改良工夫がなされており、おわら踊りの特徴の一つとなっている。

まず言っておきたいことは、他で行われている盆踊りと全く違うということである。盆踊りの特徴は誰でも踊れる群舞だということである。それと対極にあるおわら風の盆は、修練を積んだ踊り手しか踊らないということである。1、2度手ほどきを受けた素人では踊れない非常に高度なパフォーマンスだからである。

男踊りの振り付けの複雑さは、とりわけポージングとタイミングの難しさにある。ポージングの囃子音楽との微妙なズレと緊張感はこの踊りの真骨頂だろう。また、一見ロボットのような身振りは、本来の地唄舞や日本舞踊の踊りとは一線を画していて、ある点では人形振りの技術を取り入れているのかとも思われる。

女踊りの方がまだ日本舞踊の本来の手が使われているように思う。ただ、日本舞踊や地唄舞にはない、上半身を後ろにそらした姿勢の維持の振り付けは、おわら風の盆の独特な振り付けである。

男女ともに顔を編笠で隠して同じスタイルでする群舞は、西洋の個性との対比を考えさせられる。西洋の個性と日本の没個性という外面上の対比の深部には、個性的な外面の深部にある同一性、同一性の外面の深部にある個性という逆説的な人間性が垣間見えるのである。

この体験を通じて、立場を変えて自分なら同じことができるだろうかと思うと、越中富山のお大尽はなんと鷹揚な方だろうと心から感心した。

 

『よみがえる時』ー金沢市の姉妹都市ナンシーについて

『よみがえる時』は高浜眞子(実は妻の中田たか子)が2015年のテレビ朝日のシナリオコンクールに応募した作品であるが、残念ながら落選した。

高浜真子は2007年から『泉鏡教授の探偵旅行』をはじめとした探偵小説を書いていた。泉鏡教授の探偵旅行は最初、金沢から始まっていた。

上の画像は『泉鏡教授の探偵旅行』の表紙で、兼六園の徽軫ことじ灯籠とうろう 1の写真である。

泉鏡教授はフランスと関係のある研究をしていたので、金沢とフランスを結びつける映画のストーリーを考えた時、金沢と姉妹都市であるナンシーというフランスの都市との関係を思いついたのである。(落選した時、日本のテレビ局の求めているシナリオは海外ロケを必須とするストーリーは対象外だとわかった。特に最近のテレビは制作費の切り下げの影響もあって、ロケは日本国内に限っている。しかし、これだけ日本人の海外旅行が普及している現在、舞台を日本に限るというのは如何なものか?)

ところで、シナリオはこのようなものだった。

「フランス・ナンシー市に住む六十七歳のソフィーは、四十五年前の日本人の立山たてやま恭助きょうすけとの思い出に生きている。当時、立山は金沢市・ナンシー市姉妹都市提携の準備のために、日本の金沢市から派遣された陶芸作家であり、ソフィーはナンシー派美術館の受付嬢であった。二人はその時恋に落ちたのであった。三年後ナンシーを訪問した立山はソフィーが結婚して仕事をやめたことを知らされた。」(以下、『よみがえる時』を参照)

2017年3月、LIVREPARISでパリに滞在する機会を利用して、行っていなかったナンシーを訪ねることになった。パリ東駅からナンシーまで、TGVで90分程度だから日帰り旅行としては快適な距離だろう。先に書いたように、ナンシーは金沢との姉妹都市提携をしている。ところで、姉妹都市という表現は英語も日本語も同じだが、フランス語では双子都市という言い方をする。僕はどちらかというとこのフランス語の表現が好きだ。 2

それはさておき、ナンシーは美しい街である。世界遺産になっているスタニスラス広場には、市役所、美術館、オペラ劇場が広場を囲んで美しい姿を見せている。

スタニスラス広場

広場と駅を結ぶアンリ・ポワンカレ通りにはアール・ヌーボーの門が美しい商工会議所がある。

ナンシー商工会議所

アール・ヌーボーの門がいかにもナンシー派を表している。

Nancy-ville駅

 

以下にお見せするのはDozoDomoの記事 PROMENADE DE KANAZAWA À NANCY(ナンシーの金沢散歩道)である。ナンシーにおける姉妹都市関係の情報である。 3

最初のフランス語だけ翻訳しておこう。

les villes jumelées
Kanazawa est jumelée avec Nancy depuis 1973. En 1998, pour commémorer les 25 ans du programme d’échange, la ville japonaise a offert une lanterne, aussi appelée Kotoji tôrô, représentative de sa culture, à la ville Lorraine. Cette lanterne, possède une jumelle originale disposée au Kenroku-en, le jardin public de la ville de Kanazawa, considéré comme l’un des plus beaux du Japon. Le Kotoji tôrô, dont la caractéristique est d’avoir des pieds courbes et de longueurs différentes, est l’emblème du Kenroku-en.

「姉妹都市

金沢は1973年からナンシーと姉妹都市となった。1998年、姉妹都市提携25周年を記念して、日本の都市(金沢)はその文化を象徴する徽軫ことじ灯籠という名の灯篭をロレーヌ州の都市(ナンシー)に贈呈した。この灯篭は、日本で最も美しい公園の一つとされる金沢市の公園、兼六園に置かれたオリジナルの双子灯篭となった。二つの長さの違う二本の足をもつ徽軫灯籠は兼六園の紋章である。」

最後は、金沢の近江町市場にあるフレンチ料理店 La Cook Mignon-ラ・クックミニヨン の美人姉妹が実際に行った写真をご本人の了承を得て載せます。

金沢の美人姉妹がナンシーの金沢散歩道プロムナードにある徽軫ことじ灯籠とうろうの前に立つ

Notes:

  1. 琴柱ことじとも書く。琴柱は楽器の琴の糸を支えるのことで、琴の胴の上に立てて弦を支え、音を調節する道具。灯篭の姿がその柱に似ていることから名付けられた。
  2. 金沢とナンシーの姉妹都市の締結について詳細はhttp://www4.city.kanazawa.lg.jp/data/open/cnt/3/11154/6/shimaitoshigaiyou.pdfにあるので、関心のある方はご覧ください。
  3. このサイトは日仏交流について非常に魅力に富んだ記事を掲載している。