サン・ジャンヴィエまたは聖ジェンナーロ コリコーロ翻訳マラソンその7

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サン・ジャンヴィエ

サン・ジャンヴィエはフランス語での表記で、聖ヤヌアリウス (Saint Januarius) または聖ジェナーロ (San Gennaro) 、イタリアでは聖ジェンナーロ (San Gennaro) と呼ばれる。ディオクレティアヌス帝による迫害が行われていた西暦305年に逝去したとされる。遺体は後にナポリへと移され、そこで守護聖人となった。サン・ジェナーロ祭は血の液化の奇跡としてナポリで行われる大イベントであるが、遠くニューヨークのリトル・イタリーでも毎年9月に行われる。特に『ゴッド・ファーザー』のII, IIIで使われていることでも有名である。

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Chapitre XIX サン・ジャンヴィエ 教会の殉教者

「よいか!兄弟たち」と彼は言った「あなたは何をしていますか?あなたはあなたの嘆きによって邪悪な者の魂を喜ばせたいですか?確かに、私はあなたに言います。安心してください。私の死の時が来ていないので、主はまだ私に殉教の手を受け取るに値するとは信じていません。それよりも、火の炎が届かない私のためではなく、地獄の炎に定められた私の迫害者のために、ひれ伏して祈ってください」

テモテは聖徒の言葉を軽蔑の薄笑いを浮かべて聞き、死刑執行人に死刑を実行せよと合図した。

サン・ジャンヴィエはかまどに投げ込まれ、すぐに彼を押し込んだ開口部がこの光景に参加したすべての人々の見ている前で外から塞がれた。

数分後、炎と渦が空に向かって上昇し、執政官に彼の命令が実行されていることを知らせた。そして、果敢に立ち向かった男に永遠に復讐したと信じ、勝利の誇りに満ちて家に帰った。

他のクリスチャンは、拷問の日を待つために彼らの刑務所に戻された。そして群衆は深い哀愁と暗い恐怖の印象をもって散り散りになった。

それまで野次馬を追い払い、秩序を戻すことに専念していた兵士たちが二人、群衆がいなくなるとすぐに何もすることがなくなって、ゆっくりと炉に近づき、その日の出来事について、罪人があのような恐ろしい死を経験した瞬間に示した奇妙な落ち着きのことを話していると、その一人が彼の最初の言葉の途中で突然止まったとみるや、話し相手に向かって黙って聴くように合図をした。された方は実際に耳を傾け、自分の方が相手に沈黙を課した。その合図が次から次と段階的に繰り返され、誰もが動かず、じっと耳を澄ませていた。そのとき、かまどの内部から響く天の歌が兵士の耳を打った。そしてそれは彼らが一瞬夢のいたずらかと思ったほどに並はずれたものであった。

しかし、歌はより明瞭になり、やがて彼らは天使の合唱団の中で歌うサン・ジャンヴィエの声が認識ができた。

今回はもはや驚きというより、むしろ彼らを捉えたのは恐怖であった。そして、いくら予言されたとは言え、まさかの予期せぬ事態が起こったことを総統に報告することが緊急になりつつあると見て、彼らは青ざめておびえながら執政官邸に走って行き、広場で起こったと予測されていた彼らは彼の家に走り、目撃したばかりの驚異の奇跡を恐れまじりの雄弁さで話した。

テモテはこの奇妙な話に肩をすくめ、兵士たちがそんな幼稚な恐怖に支配されているようなら、むちで打つぞと脅した。しかし、そのとき彼らはすべての神々に誓いながら、サン・ジャンヴィエの声と彼がかまどで歌ったアリアをはっきりと認識しただけでなく、彼は主に唱えた賛美歌の歌詞と感謝の行為も忘れていないと言った。

総督はイライラしたが、そのような頑固さにも納得できなかったため、すぐに彼の目の前で炉を開くように命じ、殉教者の焦げた残骸を彼らの前に置いた後、そんな馬鹿げた話をして彼を邪魔した嘘の報告者を最大限の厳格さで罰するのを手ぐすね引いて待った。

総督が広場に到着したとき、再び広場が人々で溢れていて彼が自分の通る道を作るのに骨が折れたほどだった。

奇跡の噂が街に急速に広がり、ノラの住民たちが拷問の場所に大騒ぎで駆けつけ、大声で炉の解体を要求し、言葉や行為ではなく、嵐を呼ぶ雷のゴロゴロなる音のような暴動を呼ぶ群衆のくぐもった喧騒によって、執政官を脅かした。

テモテは発言を要求し、そして、彼の声が聞こえるのに十分な静寂が訪れたとき、彼は答えて、みんなの要望が即座に実現されるだろう、そもそも自分はまさにかまどを開けと命令するために来たのだ、それも群衆の間で広がる不条理な噂にきっぱりとしたケリをつけるためだ、と言った。

この言葉で、叫び声は止まり、怒りは収まり、喘ぐような好奇心に席を譲った。

すべての呼吸が止まり、すべての目が一点に集中した。

テモテからの合図で、兵士たちはハンマーとツルハシを持って炉の方へ進む。しかし、彼らの一撃を受けたレンガが落ちると、突然、炎の旋風が炉床から吹き出して、レンガを灰にした。

魔法のように壁が落ちる瞬間、まばゆいほどの明快さの中で聖司教は彼の栄光の中に現れるが、火は彼の額にかかる一本の髪にさえ触れていない上に、煙は彼の服の白さを変色させてさえいなかった。小さなケルビム天使の群れが彼の頭の上にまばゆい光輪を支え持ち、セラフィム天使のハープが奏でる天体の和音の見えない音楽が彼の歌を伴奏していた。

そのときサン・ジャンヴィエは、地上の火とて主の選民には何も害しないことを不信者に納得させるために、燃える炭の上を歩き始めた。それでも奇跡の現実を疑うかもしれないと、それが本当に彼であり、夢でも幻でもなく、たった今見たのが超人の幻影でもないことを証明するために、サン・ジャンヴィエは自分自身で刑務所に入り、総督の処分に身を委ねた。

何が起こったのかを見て、テモテは恐怖に襲われ、何か反乱でも起こらないかと恐れてジュピターの神殿に逃げ込んだ。まさにそこで、奇跡の主人公の聖人が、大衆の興奮の真っ只中に総督から逃げ去ってその力を逃れることができたにもかかわらず、逆に刑務所に戻って総督が彼に与えたいと思う新しい拷問を待っているということを知らされたのである。