モンシニョール・ペレリ コリコーロ翻訳マラソンその6
モンシニョール・ペレリ
モンシニョール・ペルリは今日のナポリでも劇場で上演される滑稽劇の主人公として不動の人気を持っている。実在の人物だったらしいし、デュマはこの高位聖職者の底抜けの人の良さと間抜けぶりを活写している。このブログではほんの一部を紹介しよう。出版をご期待ください。
Chapitre VIII 逸話(モンシニョール・ペレリ)
しかし、モンシニョール・ペレリは私が知己を得た多くの人々よりもマシなところがあった。彼は馬鹿ではなくお人好しだった。彼の中には自分の知的欠陥の意識があり、そこから彼は勉強すること以外に何も求めなかった。だから、ある夜、M…伯爵の話を聞いたとき、アヴェ・マリアの聞こえる時間に外にいるのは不健康だと言った。夕日がこの時間に落ちるので、健康上の注意が頭に残り真剣に彼の心配になった。モンシニョール・ペレリは、夕日が落ちるところを見たことがなかったので、本当にどんなものかは全くわからなかったのである。
何日もの間、彼は友人に問題の事柄に関するいくつかの情報を求めたいと思った。しかし、哀れな高位聖職者は、ほとんど常に彼の問答が喚起するあざけりの声が耳に付いていたので、好奇心が彼の口を開かせるたびに、恐れが再びそれを閉ざした。ついに、御者が食事のとき彼に仕えていたある日のことである。
「ガタンや、お前は夕日が落ちるのを見たことがあるか?」と彼は尋ねた。
「ああ!はい、モンシニョール」と可哀そうな男が答えた。彼は、よくおわかりだろうが、御者であった二十五年間、こういう幸運には事欠かなかった。「もちろん、見ましたよ」
「で、それはどこに落ちるのだ?」
「どこでもです、モンセニョール」
「しかし、より具体的には?」
「もちろん!海辺ですよ」
高位聖職者は何も返事をしなかったが、彼はその情報を有効に利用して、彼は昼寝をする前に、六時きっかりに馬車を用意するように命じた。
指定された時間に、ガタンは車が準備ができていることを彼の主人に伝えに来た。モンシニョール・ペレリは一度に四段ずつ階段を飛び降りた。それほど彼が見ようとしている未知の事柄に興味を持っていたからだ。彼は馬車に飛び乗り、できる限りそこで我慢して、ヴィラ・レアーレの道路のボシェットとメルジェリーナの間にある突先に駐車するように命じた。
モンシニョール・ペレリは、七時から九時まで、あれほど待ち望んだ日没を見られないだろうかと目を皿にして見ながら、指定された場所にじっとしていた。しかし、彼は南国特有のあっという間に夜になる気候以外に何も見なかった。九時は夜がとても暗かったので、モンシニョール・ペレリはその夜は何かが落ちるのを見る希みを失った。しかも、日没の予告された時間が過ぎてずいぶん経っていた。したがって、彼は非常にがっかりして家に帰った。しかし、彼はおそらく翌日はもっと幸せになるだろうと考えて、自分を慰めた。
次の日、同じ時刻に期待も同じなら失望も同じだった。しかし、モンシニョール・ペレリは、他のキリスト教的美徳の中で、忍耐力が相当発達していた。それゆえ、彼はすでに二回欺かれている彼の好奇心が三度めには満足させられることを望んだ。
しかし、ガタンは彼の主人の新しい気まぐれを理解することができなかった。彼は以前のようにC…王子邸またはN…公爵邸で夜を過ごすために家を離れる代わりに、海のそばに落ち着いて、まるでサン・カルロ劇場のグラン・ガラの日の桟敷の中にいるかのように頭をドアに向けたまま注意を払っていた。ガタンはもはや若くはなく、健康のために夜の湿気を恐れていた。三日目になったとき、彼は三日間の異常な待機の原因を明らかにする決意をした。その結果、アヴェ・マリアが鳴り始めたとき、
「すみません、閣下、」彼は、モンシニョール・ペレリと簡単に対話できるように席に座ったまま体を傾けると、ペレリはドアにしがみついて、両目をこれでもかと見開いていた。「失礼とは思いますが、閣下、閣下は何をお待ちになっていらっしゃるのかお尋ねできますか?」と彼は尋ねた。
「友よ」と長老は言った。「私は夕日が落ちるのを待っています。昨日と一昨日は待っても無駄でした。注意を払っていたのに見えませんでしたが、今日こそはもっと良い結果が出ればと思っています」
「くたばれ!」とガタンは言った。「閣下、落ちましたよ、それも見事に落ちましたよ、この二日間。これが答えです!」
「何だって!じゃあお前は見たのか?」
「見たどころか感じましたから!」
「じゃあ私も感じることができますか?」
「もちろん感じることができますとも!」
「それは奇妙だ。私は見も感じもしなかったのに」
「ほら、まさに今、この瞬間に…」
「どこに !…」
「どこにって ! 見えませんか、閣下?」
「いや」
「感じたいですか?」
「私は心から感じたいと思っている」
「では、あなたの頭を完全に中に入れてください」
「入ったよ」
「ドアから手を伸ばしてください」
「伸ばしたよ」
「もっと上に。もっと。それでいいです」
ガタンは鞭を取り、モンシニョール・ペレリの手を強く鞭で打った。
お偉い高位聖職者は痛みの叫びを口にした。
「どうです! 感じましたか? 」とガタンは尋ねた。
「ええ、はい、すごく」とモンシニョール・ペレリは答えた。「結構 。私はとても幸せです。家に帰ろう」
「しかし、もしあなたが満足していなければ、閣下」とガタンは続けた。「明日また来ましょう」
「いいえ、きみ、いいえ、必要ないから。もう十分わかったよ。ありがとう」
モンシニョールはスカーフで一週間手を吊り、来る人ごとに彼の冒険を吹聴し、最初は疑問に思ったんですけどね、M…候爵の見解にすっかり同意してしまいましたよ、とまで言った。夕日が落ちるときに外に立つのは不健康だという説に、夕日が落ちたのが手だったからまだいいが、顔にでも落ちた日には、その後一生顔に傷が残ったままでしたよ、と尾ひれまで付けた。
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