狂言劇10 才女気取り
This post is also available in: English (英語) Français (フランス語)
才女気取り―全一幕狂言
モリエール原作「才女気取り」(1659)
中田平 翻案
印刷書籍(本)
現在(2019年2月)弊社の印刷書籍は一部を除きプリントオンデマンドでご購入いただけます。プリントオンデマンドによる印刷本は下の画像をクリックするとそれぞれのページにジャンプします。
解説
『才女気取り』はフランス一七世紀の劇作家兼劇団主催者モリエールの『スガナレルまたは疑い深い亭主』(Les Précieuses ridicules)を日本の伝統芸能狂言としてよみがえらせるための翻案である。
内容について
舞台は京都。権左衛門の家。鮎之介と鯉之助は権左衛門の娘たちに軽くあしらわれ、ひどい振られ方をしてしまった。2人は鮎之介の下男である橘氏を使って、復讐をしようと企む。善良な町人である権左衛門は彼らを婿にするつもりであったが、彼らが家から怒って出て行ってしまったので、菖蒲と瑠璃を呼びつけた。衒学的な姿勢をとる「才女気取り」たちは権左衛門を怒らせる。彼はさっさと結婚するように言い残して出て行ってしまう。
そこへ貴族のふりをした橘氏が登場。彼は貴族ぶるのが好きな男で、詩作やお洒落など身分にふさわしくない趣味を持っているため「才女気取り」たちとは話がとても弾む。そこに鯉之助の下男である桔梗氏が加わり、一同は知識をひけらかしあって会話を楽しんでいた。そのうちに橘氏は気を良くして、三味線弾きを呼んで踊り始めた。するとそこへ、鮎之介が闖入し、持ってきた根棒で橘氏をぶん殴り始める。どういうことかわからず才女気取りたちは戸惑うが、目の前の貴族だと思っていた男たちがただの下男だと知って、驚き悔しがる。彼女たちはただの下男を相手にいい気になっていたのであった。こうした侮辱を受けても、涙を飲んで耐えるしかない権左衛門は、こうなったのはすべて娘達の身から出た錆であり、物語だの和歌だのと才女を気取るのはいい加減にしろと激怒する。